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そしてやって来た昼休憩時。朝の件で私は涼子を責めていた。
「あははっ、ごめんごめんって」
「ごめんじゃないわよ。本当に止めてよね、もう」
「だってあの子、好きな男のタイプがこの人だって見せてくれた画像が智也でさぁー、つい口が滑ってしまった」
「好きなタイプって……芸能人じゃあるまいし」
「ほぼ芸能人じゃない。本出してるし、たま~にテレビに出てたりしてるし」
「ローカルだけどね」
「それでも凄いよ。京、最後の最後で男運最強だったね」
「全く……。涼子もサッサと結婚しなさいよ」
「あーなんか耳にタコ。ってか昔と反対になったね、言ってること」
「……だね」
結婚願望のあった涼子は未だに独身。そして結婚しないと息巻いていた私が既にふたりの子持ち。つくづく人生って不思議だなと思ったものだ。
「やっぱり縁だと思うよ、こういうことって」
「そうだよね……。私の場合は─── っ!」
「え、京?」
話ながらランチの吸い物に口をつけた瞬間、猛烈な吐き気に襲われた。心配する涼子を置いて社食からそのままトイレへと駆け込んだ。
込み上げて来る吐き気に逆らうことが出来ず、そのまま食べたばかりのものを吐き出してしまった。
「はぁはぁ……何……これ……」
戸惑いながらも冷静になって考えればこれは数年前に経験した症状と酷似していた。
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