最終章 未来

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「会社でのことは俺、口が出せる立場じゃないからフォローしてあげられないかも知れないけど、でも京ちゃんが頑張って働いている会社は役員が妊娠したことで文句をいうような会社なの?」 「それは──」 「会社のことはごめん、京ちゃんが頑張るしかない。でも俺は大歓迎だから、京ちゃんの妊娠。だって家族が増えるんだよ? 幸せが倍になるんだよ? こんなおめでたいことってある?」 「……智くん」 「お願いだよ、京ちゃん。喜んで? ……笑って」 「~~~っ、嬉しいよ! 赤ちゃん出来て嬉しいに決まっている! 生みたい、絶対に!」 「……うん。よかった」 私たちは涙ぐみながら抱き合った。いい歳をした大人がふたり、嬉しいよ、幸せだよ、なんて言いながら抱き合った。 その内に騒ぎを聞きつけ子ども部屋からやって来た京壱と智花が何事かと一緒になって泣き始めてしまった。 「「お父ちゃん、お母ちゃん、なんで泣いてるのー」」 なんて言いながら親子四人で滑稽な光景を繰り広げていたのだった。
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