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そうして緩々と日々は過ぎて行った──。
「お母ちゃん、お腹大きいね」
「赤ちゃん、何人いるのぉ」
「ひとりだよ」
「弟? 妹?」
「さぁ、どっちだろう。生まれるまで内緒」
「えぇー智花、妹がいい!」
「ぼくは弟! 一緒にサッカーするの」
「うーん……どっちが生まれても仲良くしてね?」
「「するー」」
ソファに座っている私の両側で子どもたちが競うように話し掛ける。そんな中、洗い物を済ませた智也くんがリビングに入って来た。
「おーい、もう20時になるよ。寝る準備して」
「「はぁい」」
子どもたちは毎晩20時就寝。すっかり早寝早起きの習慣が身についているおかげで素直にいうことを訊いてくれる。
「「お母ちゃん、おやすみなさぁい」」
「はい、おやすみなさい」
智也くんに連れられ子ども部屋に向かうふたりに手を振った。
(……ふぅ)
臨月を迎えたことで産休に入っていた。だけど家にいてもすることが無く、随分と贅沢な時間を過ごさせてもらっていた。
子どもたちがいなくなってから数十分後、智也くんがリビングに戻って来た。
「寝た?」
「うん。いつもながら寝つきがよくて助かる」
「それ、絶対智くんの遺伝だから」
「そうかな……。まぁ、健康でいいよね」
「うん、いいよ」
ソファに座る私の隣に智也くんは腰を下ろす。そしていつものように大人の就寝時間である22時までの二時間は夫婦だけの時間になる。
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