最終章 未来

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(まぁ、寝てからも色々触れ合ったりするけど) なんて考えていると智也くんが私の大きなお腹に耳をつけた。 「……寝てるかな」 「どうだろう。ちょっと前から静かだから寝ているかもね」 「もうすぐ会えるね」 「そうだね」 智也くんの髪の毛を撫でながらくすぐったい気持ちで智也くんとの会話を楽しむ。 「京ちゃん、ありがとう」 「ん?」 「俺の子、たくさん生んでくれて」 「何、突然」 「俺、ひとりっ子だったから兄弟いるの、羨ましくて」 「……」 「元々世話好きだったからさ、あー兄弟いたらめいっぱい世話出来たのになぁって思っていた」 「……そう」 それは初めて訊いた話だった。 「だから今、すっごく幸せなんだ」 「智くんが幸せでよかったよ」 「ん?」 「智くんが幸せだと私も幸せだから」 「京ちゃん……」 上体を起こした智也くんが私を見つめて、そして軽いキスをくれた。 「! な、何?」 「京ちゃんが可愛いこと言うから……色々したい」 「え……色々って……ちょっと今は無理、かな」 「んー……そっか。出来ないこともあるか。じゃあ……ギュッとしていい?」 「お腹が潰れない程度なら」 「了解」 智也くんはその大きな体で私を包み込むように抱いた。服越しに感じる体温がとても心地よい。
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