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すると、その時。
「大丈夫です」
ハッとして目を向けた先。そこにあったのは、いつものように優しい、しかし力強い光を宿した、彼の双眸だった。
「僕がついています」
その言葉に、私は自然と頷きを返していた。
心の中が、安心という感情に満たされていく。
そうだ。どんな形であれ、きっと私のためになる。
私がどんな人間だったのか。私がどんな日々を歩んできたのか。私が、なぜ死ぬことになったのか。
それらはすべて、生前の私が残したメッセージ。
今の私は、それを受け取らなければならない。
私は、今度はしっかりと、固く頷いた。
管理人の彼も、私に呼応するように頷くと、本の表紙に鍵の先を当てる。
「これが、あなたの人生です」
開錠の音。
すると、私の本が無数の光と共にひとりでに浮かび上がり、私の視界は光に白く染まっていく――――
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