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「あ……あの……」
「大丈夫ですよ。言いたいことは分かります。僕が説明いたしますから」
状況を理解できない私の心境を察してくれたのか、彼は優しくそう言ってくれた。
「一つずつで構いません。何から知りたいですか?」
「えっと……」
正直、疑問点が多すぎて、何が疑問なのかすらも分からないような状況だった。
しかし、少し考えた末、やはり最初に浮かんだ質問は簡単なものだった。
「ここは、どこなんですか……?」
ここが図書館であることは分かっている。
しかし、ここはただの図書館ではない。
私はずっとそう予感していた。
私以外にも人はいるが……
その人たちがみな、同じ服装をしていること。
そしてそれは、私も例外ではない。気がついた時から、私は他の人たちと同じ衣に身を包まれていた。
全身を覆う、真っ白な装束。これは……
彼に目を向けたとき、質問に答えづらそうに口をつぐむその様子を見て、私はおおかたの予想をつけた。
「私は……死んだんですか」
訪れた、束の間の沈黙。
時が止まったかと思うくらいの、本当に静かな。
彼は、一瞬視線を落とすと、やがて頷いた。
「お察しの通り……ここは死後の世界です」
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