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「……大丈夫、ですか?」
彼に声をかけられ、私はハッと我に返った。
「え、ええ……」
無理に作った笑顔。心配そうに見つめていた彼はその作り笑いに気づいていたかもしれない。
するとその時、私の中にある一つの疑問が浮かんだ。
「そういえば、あなたは……」
そこから先を言おうとして、私はついためらった。
しかし、彼はその先を察してくれたようで、微笑して頷くと。
「ええ。僕も死人です。ここにいる人は、みな」
「……ごめんなさい」
「いえいえ。気にしないで下さい」
依然として優しいその語調。その笑顔。
この彼も私と同じ死人なのであれば、どうしても気になることがあった。
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