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 ぐふううう。  背中を丸めて激しく嘔吐した。  灰褐色の細かくて丸い粒が、胃液に混ざって流れ落ちた。  ダンゴ虫だ。  鼻の奥がむずむずする。鼻孔をむりやり押し広げられて、皮膚が膨らみだした。経験のしたことのない異物感があった。  前触れもなく、両方の鼻孔から鼻血が垂れた。  それだけではなかった。  細いヤスデが鼻血に混ざって這い出してきたのだ。あとからあとから、もぞもぞと蠢いて、瞬く間に彼女の顔は虫に覆われた。  体に何が起きているのか、理解できなかった。  ごおひふ・・・っげふうう・・・  悲鳴にすらならなかった。  痛痒くておぞましい感触が全身を突き抜けた。  溢れるヤスデの大群が、下着の内側に潜りこみ、肌を食い荒らし始めたのだ。    その時になって、橘内武がどんな目に遭ったのか、分った気がした。    激しく手足をばたつかせ、ヤスデの大群を振り払った。  制服のボタンを引きちぎり、ブラジャーを放り出した。人目を気にする余裕などなかったのだ。スカートも脱いだ。下半身のショーツの奥まで容赦なく這いずりまわっている。  泣きながらショーツに指をかけた。  誰か助けて!  声にならない叫び声。    誰か気がついて!  麻衣の意識は暗転した。  そのまま床に崩れ落ちる・・・
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