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第一章
神域桜木山(さくらぎやま)の頂に、樹齢八百年になる枝垂れ桜がある。
名前を“神清桜花(しんしんおうか)”といい、“天照大御神(あまてらすおおみかみ)”が人々に与えた“美しきモノ”の一つである。
神域とは、“神”とそれに使える宮司、巫女、そして守人(もりびと)のみが出入りすることを許されている神聖なる場所をさす。
その神域桜木山と“神清桜花”を管理しているのは、山の麓にある桜森(はなもり)村の桜花神社である。
日埜井想太(ひのいそうた)は、桜森村で守人として働いている。
守人は、神域を脅かす“妖(あやかし)”と戦うのが主な仕事である。
もちろん人間と戦う場合もあるが、桜木山では“妖”と出くわす方が多い。
“妖”と戦うのは、本来討伐隊(とうばつたい)の仕事であるが、何でもかんでも国に頼るのではなく最低限のことは自分たちでもしようと神域保全協会が作った役職である。
幸い神域に侵入してくるのは弱い“妖”ばかりで、気術さえ扱うことができれば充分戦うことが出来た。
弱い“妖”は、神の力を欲しているという。
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