bake 第1章

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bake 第1章

冷たい風が、あたり前の様に吹く日々。 その風と共に、白い物が辺りに舞っていた。フワフワと白い物が、しかし雪では無い。 〈トドノネオオワタムシ〉 いわゆる、雪虫と言われる虫。 小さなアブラムシだが、背中にフワフワとした白い綿毛があり雪が舞っている様に見える。この時期、この虫は引っ越しの為、一斉に舞い出す。風物詩ではあるが所詮、虫なので嫌がられる事が多い。 そして…この雪虫が舞い出して二週間前後に雪が降る。 冬の訪れを知らせる雪虫。 木々の葉も既に枯れ落ち、寂しさを感じさせる風景。 寂し気な冬が、近づいていた。 自分の些細な嫉妬で、気まずかった時があったが、また仲良く楽しい日々が戻って来た矢先。 ツラい思いが、拭いきれない。勿論、自分だけでは無い。 もっとツラい思いをしているカオリさん。そのカオリにツラい思いをさせてしまった、アキさんもツラい筈。 そんな三人を、余計な事はせず静観しているユウさんでさえ同じ気持ちかと…。 あの時…雨に濡れながら歩いていたカオリさん。自分は、ただ見ているだけしか出来なかったが…果たして自分のあの時の対応はアレで良かったのだろうか?     
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