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まだ、早かったか…それに自分には会いたくないのだろう。あんな姿を見てしまった自分には…。
静かな街が、より静かに。
寂しい季節が、より寂しく。
それぞれが静かに、寂し気に過ごしている日々が続いた。
自分自身も、どこか暗い感じで居たせいか会社の人から心配される程。
ただ、内情を打ち明ける事も出来ないので一人で居る事が、多くなった。
会社のお昼ご飯でさえ同僚とは行かず、一人で食べる毎日だった。
その日も一人でお蕎麦屋に行き、昼ご飯を済ませるつもりだったのだが。
混んでいた。
諦めて店を出ようとした時、
「ここ、どうぞ。相席だけど遠慮なく」
そう声を掛けてきたのは、信金さんだった。
気がのらなかったので断わろうとしたが、強引に信金さんが席に誘導し相席する事に。
サッサと食べて出ようと思い、恐縮しながら席に着いた。
「何か元気ないね?仕事の悩み?プライベートの悩み?」
そう訊いてきた信金さん。
「別に…大丈夫です。」
軽くかわす。
「すいませんね…人の事、あれこれ詮索して。色々ありますよね?職業病かな?ついね、顔色とか雰囲気で気になってしまうんですよ。」
色んな意味で軽い信金さんだが、仕事柄色んな人を見てきている故に鋭いところもあるんだなっと思った。
「やっぱり金融関係の仕事だと、人間関係とかも大変ですか?」
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