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「名前はどうするんだ?」
グリンがニッキに聞いた。
「虹ってレインボーって言うんでしょ? だからね、タマゴが虹色だったから、レインボーのレイン」
ニッキが嬉しそうに言った。
「レインは雨って言う意味もあるぞ」
「そうなの? じゃあもっといいね。グリンと僕が好きなのは、雨の日だもん」
ニッキは胸をはった。
「それもそうだな」
グリンはうなずいた。
「レインは何を食べるのかなあ?」
ニッキは動物達にもらった食べ物の残りをみんな並べた。部屋のはじっこからはじっこまで、木の実や草や虫やパンやクッキーのかけらが並んだ。
「よいしょっ」
ニッキはひなにしては大きなレインを、抱えて部屋のはじっこに連れて行った。
レインを、それぞれの食べ物の前に、順番に連れて行ってみる。
ミミズ、食べない。
クルミ、食べない。
ニンジン、食べない。
ハチミツ、食べない。
リンゴもいちごもパンもクッキーも食べない。ミルクも飲まないし、水も飲まなかった。
「あれっ? レインは何を食べるんだろう?」
グリンとニッキは顔を見合わせた。困った。何が食べられるのか分からない。
ニッキはレインを抱いて、心配そうにのぞき込んだ。
「食べないと、大きくなれないよ」
レインはニッキをジーッと見つめていたが、やがて羽をパタパタさせて、ほんの少し飛び上がった。レインは一生懸命、パタパタするけど、なかなか進まない。
ニッキとグリンはコブシを握って、レインが飛ぶのを見守った。
レインはパタパタパタパタパタパタ飛んで、フラフラしながらグリンの頭の上にとまった。
そしてグリンの頭に生えている木の芽をつついて、食べた。
「食べた!」
ニッキは言った。言ってしまってから、ニッキは困ったような顔をして、グリンの顔を見た。
「痛くないから、大丈夫だ」
グリンはうなずいてみせた。
レインは木の芽をたいらげると、グリンの頭に埋もれて、眠ってしまった。
「寝ちゃった」
ニッキが言った。
レインはグリンの頭の上が気に入ったようだった。お腹がすくと、グリンの頭の木の芽をつつく。木の芽は食べられても、また生えてくる。
「あれえ?」
ある日、ニッキがグリンの木の芽をマジマジと見て言った。
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