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「それに、その紙に[賄い有り]って書いてるじゃん!!僕、ちょうどバイトを探そうと思ってたからさ。レンさん、ここで僕を養ってよ~。」
「・・・あぁ、[そういう事]か。そうだな・・・まずは[その誤解を招くような言葉遣いを改めようか?]」
・・・・・・誤解を招く?
僕はただ、ここでアルバイトをしたいって言ってるだけなのに・・・レンさんの分からず屋!!
「・・・それで?ライルはいつからバイトに来れるんだよ?」
「採用してくれるの?!」
「まぁ、成り行きってやつだ。これでもう貼り紙貼って面接してっていう・・・[面倒臭ぇ事をしなくてすむ]からな。」
・・・なんだろう、この[素直に喜べない感じ]。
いやいや、バイト先がアッサリ見つかったんだから・・・ここはやっぱり喜ぶべきところだよね!!
「実は僕、大学に通い始めたばかりでさ。開店からはまだ無理だけど、明日から働けるよ!!」
「お前、まだ時間は大丈夫なのか?暇ならこのまま細かい事を色々決めておきてぇんだが。」
「全然平気!![彼女に振られたばっかり]で[時間ならもて余してる]からね!!」
「・・・女に振られたってのに、なんでお前はそんなに元気なんだろうな?」
ちょっと待ってろと一言言って、レンさんは隣の部屋に入って行った。
と思ったら、すぐに戻って来た。
手には何やら書類みたいな物を持ってる。
「まぁ、俺も先代から店を引き継いだばかりでな。細々した事はまだよく分からねぇんだよ。そうだな・・・とりあえず、今日のところはお前の希望する日時だけ決めとく事にするか。」
「うん、分かった!!」
そして、僕は雨が上がるまでの間、そのままレンさんの家に入り浸った。
その時にこの部屋にある大量の本の事を聞いたら、[レンさんの趣味が読書だという事を知った]訳で。
更に営業中のレンさんの変わり身が早い事に驚いたり、僕の接客はいいんだけど口調の事で注意されたり。
なんだかんだありながらも、僕は今もここでバイトをしている。
レンさんの作る栄養満点の料理のおかげか・・・僕は大学に入学してから[更に身長が伸びた]。
今ではレンさんよりも身長が高くなってしまって、[入り口から入る時は少し頭上を注意]しないといけない。
成長期って一体、いつ終わるんだろう?
でも、そんな楽しい生活ももう1年もない。
『じゃあ、明日からよろしく頼むな、ライル。』
あの時言われたレンさんの言葉。
それはいつまで経っても忘れる事が出来ない、僕達が初めて出会った日の思い出。
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