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「興梠さん。俺は、いつも菓子が一個ならば、半分は新悟にあげていました」
他に例えが浮かばなかっただけなのだが、興梠に菓子レベルかと鼻で笑われてしまった。
「……それに、俺は、新悟の夢が、自分の夢でした。新悟が研究の話をしていると、意味が分からなくても協力したくて。邪魔かもしれないけど、一生懸命に情報を収集していました」
新悟は、立ち上がる事の出来る車椅子も作っていた。止まった状態だが、車椅子が補佐して、立ち上がれるのだ。これは、健常者の高さで、様々な物が作られているので、座ったままだと不便だから作ったそうだ。
「そうだね。新悟君は、市来に応援されるから、頑張ってしまっていたね」
どうも、興梠に言われると、諭されている気分になる。興梠は勘違いしているようだが、俺は新悟の前では、ちゃんと兄貴なのだ。
「市来に応援されると、俺も、少し頑張りたくなるからね。不思議だ」
図師は、あの時任でさえ、時折、市来にのせられて仕事をしてしまったと、愚痴ると言っていた。時任は、死保の仕事はしたくないようだが、仕事が終了できなければ、消滅してしまうので、頑張ってもいいのだ。
「影代わりは、確かに、理不尽に感じるよね」
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