11人が本棚に入れています
本棚に追加
/40ページ
Act 3つづき
夜、八時半、この道を彼女は必ず通る。
「先生、こんばんわ、お昼はごめんね、隣いいかな」
「お前さ」
「先生、私ね・・・すごく楽しい夢を見たんだ、ほんとに楽しくて、このまま、ずーっとこのままいれたらなって、でも、それも終わっちゃった、もう見ることはない、もう、恋もすることもない、ありがと先生、それじゃあ、おやすみなさい」
「俺は、俺はこのまま終わりになんかしない!」
「あのさ、うちの親ばかだけど恐いよ、あんなこと言ったら、先生ここにいられなくなるし飛ばされちゃうよ、だから冗談で終わらせよ、ね、先生の将来つぶしたくないの、お願い」
走り去ろうとする彼女の腕をつかんだ、泣いている。抱きしめた、この子の涙は、あのうれし泣きの涙だけで十分。
「泣くな、俺が何とかする、お前は何も考えなくていい」
「ダメだよ―そんな事、もういいから」
キスをした。俺の物、もう、離さない。
小さな顔を両手でつかんだ。
「結婚しよう、半年、あと半年待ってくれ」
「先生―」
真紀は俺の胸の中で泣いた。
案の定、先生は呼び出しを食った、でも何とか切り抜けたらしい。私がちゃんと学校に来ていたから。でも不安で、私はあの先生に会いに行った。友人だといった先生はこのコンビニによって帰る。
「オー、こんな時間に何やってんだ?」
「町田先生待ってた」
「俺をか?」
「うん」
コンビニの前に座り込んで話をした、あの先生は何を考えているんだと。
「お前さ、あいつと初めて会った日覚えてる?」
「忘れらんない、恐かったもん」
「ハハハ、そうだよなーあれは怖かったよなでもさそうじゃなくてさ、もっと前、憶えてない?」
考えるけど覚えていなかった。
さかのぼること二年半前、小学校六年の夏。大学生の二人、進路もろくに考えないで、単純にどっかの先生になろうとだけ考えていた。ある中学校に勉強を兼ねていった、ブラック企業と変わらない仕事、雑用に、出張、残業代は皆無、自分の時間さえない。安い賃金、日本は、教育者と医者を殺すと言われていたのがわかる。過労死は、この二つには当てはまらない、だから俺たちゆとり世代は、教育者や医者になろうとするのが少ない、だって熱意だけで支えるには限度がある、こんなことのために大学まで行って、何のための学生時代だったのか。愚痴を言って飲み続けた。
最初のコメントを投稿しよう!