Act 3つづき

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Act 3つづき

夜、八時半、この道を彼女は必ず通る。 「先生、こんばんわ、お昼はごめんね、隣いいかな」 「お前さ」 「先生、私ね・・・すごく楽しい夢を見たんだ、ほんとに楽しくて、このまま、ずーっとこのままいれたらなって、でも、それも終わっちゃった、もう見ることはない、もう、恋もすることもない、ありがと先生、それじゃあ、おやすみなさい」 「俺は、俺はこのまま終わりになんかしない!」 「あのさ、うちの親ばかだけど恐いよ、あんなこと言ったら、先生ここにいられなくなるし飛ばされちゃうよ、だから冗談で終わらせよ、ね、先生の将来つぶしたくないの、お願い」 走り去ろうとする彼女の腕をつかんだ、泣いている。抱きしめた、この子の涙は、あのうれし泣きの涙だけで十分。 「泣くな、俺が何とかする、お前は何も考えなくていい」 「ダメだよ―そんな事、もういいから」 キスをした。俺の物、もう、離さない。 小さな顔を両手でつかんだ。 「結婚しよう、半年、あと半年待ってくれ」 「先生―」 真紀は俺の胸の中で泣いた。 案の定、先生は呼び出しを食った、でも何とか切り抜けたらしい。私がちゃんと学校に来ていたから。でも不安で、私はあの先生に会いに行った。友人だといった先生はこのコンビニによって帰る。 「オー、こんな時間に何やってんだ?」 「町田先生待ってた」 「俺をか?」 「うん」 コンビニの前に座り込んで話をした、あの先生は何を考えているんだと。 「お前さ、あいつと初めて会った日覚えてる?」 「忘れらんない、恐かったもん」 「ハハハ、そうだよなーあれは怖かったよなでもさそうじゃなくてさ、もっと前、憶えてない?」  考えるけど覚えていなかった。  さかのぼること二年半前、小学校六年の夏。大学生の二人、進路もろくに考えないで、単純にどっかの先生になろうとだけ考えていた。ある中学校に勉強を兼ねていった、ブラック企業と変わらない仕事、雑用に、出張、残業代は皆無、自分の時間さえない。安い賃金、日本は、教育者と医者を殺すと言われていたのがわかる。過労死は、この二つには当てはまらない、だから俺たちゆとり世代は、教育者や医者になろうとするのが少ない、だって熱意だけで支えるには限度がある、こんなことのために大学まで行って、何のための学生時代だったのか。愚痴を言って飲み続けた。
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