0人が本棚に入れています
本棚に追加
/2ページ
「先生、やりました」柴尾の声に反応し検体をまじまじと見つめる。
「本当か」
「彼女に異常はありません。数値も安定しています。あとは目覚めるのを待つだけです」
「おお、ついにやったな」赤石の顔に少しばかりの笑みがこぼれた。
「・・・」
「どうだ、まだ目を覚まさないのか」赤石はイラついているのを隠すように腕を組む。
「お静かに、今かすかなこえが」柴尾に言われ黙り込み赤石
「こ、こは、、どこですか」彼女がかすれた声で小さく言った。
「おおついに目を覚ました」赤石は彼女に走りより抱きしめた。
「貴方は誰ですか」
「私が分からないのか、まぁ仕方あるまい、あれから随分歳を取ったからな」
「赤石だよ、わかるかい?」彼女を抱きしめたまま赤石は言った。
「アカイシ?誰ですか、私は誰ですか」
赤石は愕然とした。今までどれだけの時間を費やして彼女を生み出したのかと、
その月日は無駄なのかとそう考えてしまったからだ。
「先生、焦らないでください。まだ目覚めたばかりで記憶が混乱している可能性がありますから、しばらく様子を見ましょう」
最初のコメントを投稿しよう!