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始まりの朝
暗いトンネル歩いた、どこまで続くのか分からないこの道を、
何時間、何日、何年間歩いてきたのだろう。
朝なのか夜なのか分からない、日が差し込まないこの部屋に私はいる。
どれだけの犠牲を払い失ったものを取り戻そうとしている。この苦しみももうじき消える。
「赤石先生、ついに完成の時が来ました。」
「うむ、やっとだな、これで、命の犠牲も報われるだろう。さあ、始めてくれ」
「はい」柴尾が電源を入れる。轟音と共に機械の振動がだんだん大きくなってくる。
「安定しています。このままいけますよ」柴尾そう言った次の瞬間、
雷光が走る。
慌てた様子で赤石が言った「どうしたんだ」
赤石は焦っていた、老いていく体は緩やかに動きを鈍らせ、
思考は感情に偏りだすことに恐怖を感じていたからだ。これ以上の失敗は許されない。
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