第一章 雪語

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もしかして、図師に新悟と俺は血が繋がっていないと説明もしていなかっただろうか。 「そうか、そう聞いた気もするね……」  図師は、餃子をつまみながら、ビールを飲んでいた。 「市来は、松下さんの所に行かなくてもいいの?」 「仕事の話しをしてからでしょう」  ご飯もいいが、炒飯も作ってみた。 「市来は、気が利くし、いい嫁さんになりそうだよね」 「そうでもないですよ。俺も、新悟とは血が繋がっていない兄弟だから、 家にいると喧嘩もできないのですよ。 ほら、仲が悪いとやっぱり血が繋がっていないからと、すぐに噂になるから…… だから、互いに優等生の面を保つ」  俺も新悟も、外面がいいのだ。 互いに理解しているので、二人でいる時は喧嘩もしていた。
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