第一章 雪語

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「興梠さん、食事をしてから、仕事の内容を確認しましょう」  どうも、興梠は真面目なので、突っ込んで話を聞けない。 興梠には、仕事の話し以外を、してはいけないような雰囲気がある。 やはり、興梠が黒縁の眼鏡で、かっちりとした七三のような髪型なので、 堅い感じがするのかもしれない。 「手作りの餃子だね。私の妻もよく娘と作っていたな」  興梠は、家族の事もあまり話さない。 興梠は結婚していたのかと頷きながら、でも、興梠の指に指輪が無い事を見つけてしまった。 俺が、興梠の指を凝視したせいか、興梠も意味に気付いたらしい。 「……指輪は、仕事中は外していたのですよ。作ったサイズから指が痩せてしまったようで、 よく落としてしまってね」  指輪のサイズを直そうと思っていたが、面倒でそのままになっていたらしい。 興梠の指に指輪が無いからと言って、離婚したわけではないらしい。  餃子を食べながら、興梠の家族の話を聞いてしまった。
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