第一章 雪語

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 興梠は会社員の家庭に生まれて、当たり前のように会社員になった。 計算が好きなので、経理に進み、きっちりと合う数字に運命を感じていたらしい。 「数字がピッタリと合うと、気持ちがいい」  そこで、興梠は会社のありとあらゆる数字を把握していて、横領に気付いてしまった。 そして、その横領を上司に報告しようとしたまでは、記憶していた。 「横領は、巨額でした。そっと、上司に相談するつもりで、ついでを装って金庫を 持って歩いていたのですよ」  売上金を手提げ金庫に入れて運んでいたので、興梠は巨額を持ったまま死保に来た。
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