第一章 雪語

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「私の妻は、正子(まさこ)、職場結婚でした」  興梠に恋愛というのが想像できないが、職場恋愛で、そのまま結婚したらしい。 正子は、興梠の数字が合うと万歳する様子が楽しくて、結婚してしまったという。 「正子、曰く、私は無表情で万歳と叫んでいたらしい」  正子はよく笑う人で、興梠が風呂に入っても大笑いしていたらしい。 正子は、興梠の眼鏡が曇り、何も見えないのに眼鏡を掛けている様子が楽しくて たまらなかったらしい。 「娘は二人で、瑞希と桜子です。勿論、産まれた時も、万歳をしました」  そこでも、正子は大笑いしたらしい。 興梠は無表情のまま、泣きながら万歳をしていた。 その無表情なのに、感動している所が、正子の笑いのツボらしい。
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