第一章 雪語

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「いい、夫婦ですね」  興梠は家族を残して死ねないと思ったらしい。 今も、自分に何が起きたのか分からないが、興梠は家族の無事を祈っていた。 「食事が済んだら、ミーティングしましょう」  まず、仕事の内容を確認しなくてはいけない。 「はい。片付けてしまいます」  興梠の家族への思いも分かった。 死保では時間が止まったかのように感じるが、現世では時間は動いているのだ。 興梠の娘も、どんどん成長しているだろう。 「スクリーンもセットしたよ。図師君、使っていいからね」  そんなに大きくして見たい場面など、あるのであろうか。 でも、図師は喜々として、何か映そうとしていた。
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