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別荘は、新しく建てたものではなく、古い洋館を買い取ったらしい。
「別荘……」
万里図書館の写真を見ながら、書庫の布団に座っていると、松下から電話が
掛かってきていた。
『市来君、明日は、こっちに来るかな?』
今回は、現場が離れているので、松下の家には行かないかもしれない。
「松下さん。今回の仕事は、キャンプ場なのですよ……松下さんの家から通うという
感じではありません」
電話超しであるが、松下が激しく落胆したような雰囲気があった。
松下の姿が見えない分、電話の沈黙が怖い。
「松下さん?」
『…………私が週末、そちらに通いましょう』
松下は、車を借りて金曜日の夜にキャンプ場に向かい、日曜日の午後に家に帰るという。
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