第一章 消える

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◆◆◆ 『・・・ゥ。・・・ウ。・・・・・・コウッ!!!!』  煌太はハッとして目を開けた。どうやら眠っていたらしい。慌ててスマートフォンを確認すると11時15分と表示されている。ついでに大量のメッセージも。どうやらいままで休んだことのない彼が突然欠席したことを心配する友人たちからである。 「・・・どんだけ送ってきてんだよ。」  3時間で溜まったメッセージの量に呆れながらもほっこりしつつ返信する。ついでにそれとなく弟について触れてみた。といっても、先程のような反応をされるのは嫌だったため、『自分と同じ苗字の学生を知っているか』という質問をしてみた。だがしかし、知っているという友人は一人もいなかった。 「はぁ・・・。まあ・・・そうだよな。」  両親すら知らないのだからわかっていた反応であったが、多少なりとも落ち込む。しばらく途切れないメッセージにそのまま応対していると、新たに隣のクラスの友人、五島からメッセージが送られてきた。珍しいな、と口にする。友人と言ってもたまに挨拶する程度で、そんな彼からわざわざメッセージが来ること自体、煌太にとって珍しいことなのだ。
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