第一章 消える

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『煌太、今日どしたの?また身体悪くしちゃった?』  また、という言葉に違和感を覚える。高校に入ってから体調を壊した覚えがない。高校からというより、小学生のころから煌太が体調を崩すことは滅多になかったはずだ。 『心配ありがとう!すこし調子悪いだけ。』 『それならよかった!ゆっくり休めよ!』 『おう!ありがとう!』 『そういえば一昨日手に入れたゲーム、どうだった?』  なんの話だ、煌太はそう思った。確かにゲームは好きだし、部屋にもいくつも並べられてあるが、一昨日どころかここ半年ほど目新しいものは自分で買っていない。それに買ったとして、真っ先に五島に話すだろうか。いや、おそらく彼の勘違いなのだろう。 『えーっと、なんだっけ?俺、最近ゲーム買った覚えがなくてだな。』 『なにいってんだ(笑)一昨日お前の家で見せてもらったじゃん!試供品もらったって言ってたやつ。』  全く身に覚えのない話に混乱する。 (一昨日俺の家に来た?てか試供品ってなんだ?)  彼の記憶によれば、一昨日はいつものように暗くなるまで剣道の稽古に励んだあとそのまま帰路についた。そもそも、彼の家に五島を招いたことはないはずだった。その時、一つの記憶が彼の脳裏に浮かんだ。  ー今彼がいる部屋で五島が楽しそうに笑っている。
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