第一章 消える

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◆◆◆  煌太は駅前から住宅街を割って向けて真っ直ぐのびる商店街を歩いていた。右手に不動産屋があると思えばその向かいにはママチャリがたくさん止められているカフェがあり、更にその隣にはまだシャッターが降りている居酒屋もある。八百屋にパン屋、ケーキ屋にカフェ、古本屋に薬局、イタリアンのお店にまたカフェ・・・。意外とたくさんお店があるもんだな、と煌太は思った。普段何気なく通る商店街も違って見えるから不思議だ。自転車や徒歩ですれ違う通行人を見ると、お昼過ぎだからだろうか、年配者や子連れの母親がほとんどである。同じくらいの年齢の通行者は今の所彼以外見当たらない。学校を体調不良を理由に休んだこともあって、少しだけ居心地の悪さを感じる。  先程の五島の話によると、弟は商店街の端の方で例のゲームショップを見つけたと言っていたらしい。しかし、次の日訪れようと商店街を探した五島には見つけられなかったようだ。お前本当にどうやってみつけたんだよ、とぼやいたあとで五島はこう送ってきた。 『もしかしたら、普通じゃわからない外装してんのかもなあ。』  その後に、それか店開けてる時間もバラバラなのかも、と彼は続けた。なるほどと思った煌太は、こうして商店街をくまなく探すことにした。商店街の端という情報はあったものの、念の為入り口から探し始めた。行けども行けども似たようなお店が並び、なかなか端までいかない商店街に辟易としたが、途中の神社の入り口で少し休憩したり商店でアイスを買って頬張りながら歩いていると、なんとか終わりが見える所までたどり着いた。  民家、肉屋、豆腐屋、魚屋、民家、居酒屋、民家・・・。左右を確認しつつ端まできたが、収穫はなかった。商店街を抜けた先に見つけた公園のベンチにどかっと腰をおろし溜め息をつき、先程アイスと一緒に買った水を飲み、また溜め息をついた。もしかしたら見落としたのかもしれない。だが、もう一度すべてのお店を確認することを考えるとなかなか腰があがらない。
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