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プロローグ 落ちる
「ああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーーーー。」
空木煌太(ウツロギ コウタ)は落ちていた。雲の間から、星の丸さがうっすらと分かるほど遠い地面に向かって。なぜ、今、この高度から落ちているのか彼には全く心当たりがなく、突然始まった落下へのパニックと、ただひたすらに受ける続ける風圧と落ちる感覚、徐々に近づいてくる地面と死への恐怖で彼の頭はフル回転した。
ー2つ並んだランドセル。
ー2本の竹刀と2着の剣道着。
ー掛けられた2組の学ラン。
ー同じ2組のブレザー。
走馬灯と言われるものだろうか、断片的な画像が頭の中に映し出される。
ー同じ服を着たキャッチボールの相手。
ー隣で一緒に母に怒られる自分ともうひとり。
煌太は眉をしかめた。相手の顔だけが、ぼんやりとしている。
ー縁側でスイカを頬張る2人。
ー髪を引っ張り合う2人。
思い出さなければという強い衝動に、頭の中に集中する。
ー自分と同じように竹刀を構える相手。
ー同じコントローラーを片手に笑う
「 」
無意識に口から押し出されたその名前は空気の裂ける音に邪魔をされ、彼自身の鼓膜すら揺らすことなく消えた。
(今、何て・・・)
考える暇なく画像は流れる。
ー病室で横になる相手。
ー運動場から見える教室で一人本を読む相手。
ー車椅子に乗る
間近に迫る地面にハッとすると、落下地点に人影が見えた。
「ああああああぶないぃぃぃぃぃっっっっっ!!!!!!!!」
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