カクリク・カク

01 七神銀という男

　推理するものは難事件はもちろんの事、人の心理から世の理わりまで多岐に渡る。もちろん彼の推理力はずば抜けており、謎を聞き終わった瞬間に謎を全て解く。しかも自己完結するに留まらず、周りの聴衆にも分かり易く謎を丸裸にする。

　なんとも、あり得ない半妖なのである。

　ともかく女性とも見紛うような整った中性的な顔立ちは銀が決して頭脳だけではないと思い知らされる。薄い緑色をした髪もまた魅力を高めている。常に黒いシルクハットを被っており、シルクハットの向かって右側には綺麗な水色をした鳥の羽根が付いている。

　両耳には大きめの輪っか状のシルバーピアス。

　口元は大きな黒いボタンが付いたこれまた黒いコートの高い襟によって隠されている。

　ズボンもまた黒く、靴も黒い。

　背も高く、中肉中背のすらっとした体格もまたイケメンたる所以だ。銀は犬耳を持っているのだが、犬耳を隠す為に常にシルクハットを被っている。何故犬耳を隠すのかは省くが彼は半妖である事実を隠しておきたいと考えていたのだ。

　加えて銀にとって容姿などは仮初めのものでしかなく、それよりも心を重要視する。

　ゆえに『カクリク・カク』は心の清い者しか来店できないのである。

　ともかくそんな銀のサポート役が金太郎。

　この金太郎という男。

　なんというか一見すると人間にも見えるのだが……。

　その実、性別や年齢すらも自由自在というまったくもってふざけた生き物なのだ。