01 七神銀という男

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「おお。いいところに気づいたね、銀狼さん。これはね。空飛ぶクジラを描いていたんだよ。いわゆる天使というか天の使い的なものだね」  これがクジラか。  と顔をしかめてからどこが空飛ぶクジラなのかと自分なりに解釈してみる。  ともすればこれこそが神が創りし謎なのかもしれない。  とそんな事を思ってしまう銀。 「なんでこんなものを描いているんです?」  と空飛ぶクジラだと言い放った落書きを穴が空くほどに見つめる。  紙を透かして金太郎を見る銀。  金太郎が口を開く。 「いやあ。天国ってどんなところで快適なのかなとか考えていたんだよ。そしたら天国に連れて行かれる場面から絵にしたら天国自体が分かるじゃないかと思ってさ」  答えを聞き銀は後ろ頭を掻く。    金太郎の思考を読んでみせる。  つまり金太郎は人間が死に天国に連れて行かれる場面から天国までの絵を描き、それらを描く事で天国というものを理解しようと考えていたのだ。しかしながら決定的に絵が下手な彼では到底天国というものを理解できないであろうという結論に落ち着く。 「金太郎の絵じゃ、政治家の口約束ほどに無駄ですね」 「ううん?」  金太郎には銀が小さな声でため息交じりに言い放った一言が聞こえなかった。
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