take1

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7月。 梅雨も明けて、夏らしい気候に近づいたような気がする。 少し前までの、じっとりと体にまとわりつくような蒸し暑さが、今では日差しがただひたすらに痛く暑いのだ。 若かった頃はこんな中でも仲間内で、海に、山に、祭りに、と楽しんだものだった。 もう何十年も前の話だろう。 今や、近所の子供たちが元気にはしゃぐ声を、静かに縁側で聞くただのお爺さんなのだ。 あの純粋無垢な笑顔と、どこからともなく湧き上がってくる活気は、今の私にはもちろん無い。 自分にもあんな時期があったのだろうか。 きっと、あったんだろう。 虫取り網を持って、バケツを持って、今日こそはメダカを100匹は捕るぞ、とそんなことを言っていたような。 もう何十年も前の話だ。 懐かしい、というよりは、感慨深い、と言ったほうがしっくりくるのだろうか。 いや、そんなことは今はどうでもいいのだ。 「そろそろ飯の時間だな」 重くてよぼよぼのお爺さんが縁側から腰を上げ、よっこいしょと台所へ向かう。 縁側で夏の風に当たるのも存外良い気分ではあるが、台所に入った時のエアコンのこの冷たい空気もやはり心地よい。 ああ、涼しい。 「さて、何を食べようか」 「あら?どうしたの?」 私が丁度冷蔵庫へ手をかけ少し開けかけたとき、後ろから声がした。 その声に振り向けば、目をパチクリさせている彼女が立っていた。
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