自衛隊志望、そして試験

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入隊試験。一般(2等陸士)隊員試験が90分くらいで終わった。中卒レベルの国語、数学、社会、面接。どれも、簡単だった気がする。 面接官が訊いてきたのは、「親御さんは、なんておっしゃってますか?あなた、キミまだ19歳なのでね。親御さんが反対してるのに無理やりは入隊させられないので。」 俺「親は、自分の進路は自分で決めなさいって言ってます。親父はむしろ、賛成してました。」 面接官「そうですか。なら良かった。はい、以上で面接は終わりです。ご苦労様でした。」 係の陸自の制服を着た人が、寄ってきて 「休憩して。次は曹候補士の試験があります。一服してきなさい!」  俺は体育館の入り口にある、喫煙所でタバコを吸った。ニコチンが体にしみわたる、快感だ。やはり、緊張した後はタバコが旨い。 曹候補士試験はやはり知らされていた通り、高校一年レベルの英語、数学、国語、小論文だった。 数学は二次関数とか。二次方程式や因数分解。 英語は会話文と少しの文章問題。確か、高校の時合格した英検準2級は問題文までもが、英語だったからまだこっちはマシ。 国語はボチボチ。なんとも言えない。 小論文は愛国心についてあなたの思いを400文字程度で述べなさい。だったか。俺は愛国心は、国民ひとりひとり、誰にでもあって当たり前のものだと書いた。サッカーワールドカップが去年の2002年あったし、オリンピックの時も誰もが日本のチームや選手を応援する。それまで、スポーツにあまり無頓着な人でも国旗を背負って戦う、全ての選手を応援して日本人の力をおおやけの場で発揮してほしいと願う、それは根底には愛国心という国民共通の意識があるのだとか云々、ウンチクを書いた。 曹候補士面接試験 面接官は「陸上自衛隊希望ですね。何科を希望しますか?例えば戦車に乗りたいとかなら機甲科、歩兵として頑張りたいなら普通科とかですが。」 俺はもう疲れていたのと、予備知識不足であまりにも的外れな応答をした。 「えっと。料理が好きなので、炊事係がしたいです。確か、自衛隊は自分たちで交代で食事を作る勤務があると伺っていましたので。」 面接官「はぁ?キミ。何科かはどうでも良いのかね?」 俺「えっと、普通科?ですかね。希望は。」
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