オゴエと私と紙ピアノ

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 何か私にできることはないかと尋ねた時、雪人はそう答えた。それもきっと、本当のことだ。彼は芸術家の魂を持っている。でも、だからこそ、日のあたる場所で本物のピアノを弾き、人々を魅了したいという思いが無いはずがない。  いつか、きっと。  何も言わない雪人にかわって、私は思う。  不可能だなんて誰にも言わせない。私はもう、逃げもごまかしもしない。  神様は、公平ではないし優しくもないけれど、それでも、絶望なんてしてやるものか。  私たちの人生は、まだ始まったばかりなんだから。                                                                                          了
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