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自転車
夕暮れ時。
俺が自転車で公道を走っていたときだった。
突然、三才くらいの女の子が横道から飛び出してきた。
「わっ」
危うく轢きそうになったが、俺はハンドルを回し、急ブレーキをかけた。
女の子を轢くという大惨事は免れた。
その次の瞬間。
「これっ!」
という女性の声が響いた。
俺は一旦停まったが、すぐに漕ぎ出していたので、女性の姿を見ることはできなかったが、おそらく女の子の母親だろう。
たぶん、急に飛び出した女の子を叱ったんだ。
俺は思った。
三才の女の子に、道から飛び出すことの危うさが理解できるかどうか俺にはわからなかった。
しかし、なんとなく俺のほうが悪かった気がして、女の子がひどく気の毒に思えた。
自転車ってやっぱ危ないのかな。楽だけど。
俺は赤信号で停まりながらそんなことを思った。
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