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父親
「お前の父ちゃんって良い父ちゃんだな」
片手におちょこ。
俺はつくづく思って言った。
「あ?ああ、そうかもな」
こいつの父は、何かの祝い事があると、こいつの元へ飛んできて時計やら何やら祝のものを持ってくるらしい。
それが良い父親なのかは俺にはわからなかったが、酔った俺はそのとき、そのことがとてもうらやましく思えた。
俺の父は、大学には入れてくれたものの、その後、就職祝いも無しで、それ以来何かを買ってくれることなんてなかった。
むしろ、俺から家電やら何やら家に買ってやっている。
いい大人なんだから、そのくらいのことはしなければならないとは思いつつも。
理不尽。
今更、父親に何かをねだろうとは思わないが、俺が父親になったとき、子どもに何をしてやれるのか、どこまでしてやればいいのか、それがわからない。
酔ってるときぐらいしか、そんなことは考えないけれど。
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