カモミールティー

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カモミールティー

 女友だちから誕生日プレゼントをもらった。  包装袋を開けてみると、カモミールティーの紙箱が入っていた。  ハーブティーか。  なんだか女子っぽくて恥ずかしくなったが、興味はあった。  せっかくだし、一杯淹れてみるか。  紙箱からティーバッグをひとつとりだし、湯を沸かす。  普段使っているマグカップにティーバッグと湯を注ぎ、二、三分待つ。  甘い香りが、かすかに漂ってくる。  ティーバッグをぽいっとゴミ箱に捨てると、俺はお気に入りのソファに腰掛け、熱いカップに口をつける。  一口飲むと、なんだか不思議な感覚に陥った。  香りも良い。  身体の中に滞っていた疲れが、一気に気持ちのよい疲れとなって全身を巡った。  と、同時に強い眠気が襲ってきた。  このまま寝入ってしまいそうなほどだ。  これはカモミールの力なのか?  リラックスがどういうものかよくわからなないが、この今の俺の状態がそうだというのなら、なんとなくクセになる感覚だった。  たぶん、これがリラックスというやつなのだろう。
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