2人が本棚に入れています
本棚に追加
/49ページ
男は右手を抑えながら叫び声をあげ、僕に背を向けて逃げ出した。
「待てッ!!」
怒りが収まらない僕は地面を蹴り、逃げる男の所まで接近し、左手の拳を握る、心なしか光も増している。
そのまま僕は男の背中を全力で殴りつけた。
かしゅっと軽い感触の後、拳は空気を切る感覚がした。
僕の拳はやすやすと男の身体を貫通し、その衝撃波でその穴は広がり、直径30センチほどの大穴を開けていた。
男はぐらりと前のめりに倒れた、その大きな傷口からは鮮血がどくどくと流れ出ている。
頭に昇った血がどんどん下がってゆく、極めつけに僕の黄色い手は今や男の血で真紅に染められている、そこでようやく僕は自分のした事の重大さに改めて気づいた。
―――僕は―――ヒトを―――殺した―――
最初のコメントを投稿しよう!