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世の中のお受験ママは大変だ。
妊娠も出産も未経験の私がそれらをすっ飛ばしてお受験ママのようになるなんて世の中何があるかわからない。
「徳川家康は“何”の戦国大名に生まれ“誰”や”誰”と協力して勢力を広げたの?」
「三河国今の愛知県で、織田信長や豊臣秀吉と協力して勢力を広げた。やがて関東に領地を移され、大きな力を持った」
「完璧、正解」
「じゃあ次、豊臣秀吉の死後、豊臣氏の政権をもりたてようとする石田三成と“どこ”を拠点として力をつけてきた……」
「“関ヶ原の戦い”のことでしょ?答えは江戸。石田三成を中心とする西軍と、徳川家康を中心とする東軍が関ヶ原、今の岐阜県で戦ったんだよ。ちなみに東軍が勝利、家康は全支配したんだ」
「完璧。やるなぁ……これ、私は中学くらいで習ったよ。本当に五年生?」
「そうだよ。ねぇ舞ちゃん、次出して」
「あ、待って」
私は塾のテキスト上の文字を焦って手でたどる。
小学五年生なのに、なんて難しい問題なんだと毎回思うのだけど、子供の脳は広げがいくらでもきくのかもしれない。
「じゃあね……関ヶ原の戦いに勝利した家康は“何年”に何“に”任命され“何”を開いたの?」
「1603年に征夷大将軍に任命されて江戸幕府を開いた 」
「バッチリ、すごいね」
時刻は22時、リビングに私と甥っ子の唐仁原理の声が響き渡る。
「もうその辺にしたらどうだ?」
「あと少し、明日テストなんだから。舞ちゃん出して」
理は父の言葉を遮り、私にせがむ。
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