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「理、熱下がってる……」
「よかったわねぇ」
「うん……」
午前7時、理の熱を計ると熱は37度6分と昨晩より下がっていた。
安堵で泣きそう。
「心配かけてごめんね」
「なんで理が謝るの?風邪は誰でもひくものよ」
私は理にぎゅっと抱きついた。
理の匂いにホッとする。
子供独特のいい匂いをいっぱいに吸った。
普段は恥ずかしがってそっぽを向く理なのに今朝は申し訳ないと思っているのか小さく笑うだけ。
「夢でね、お母さんとお父さんに会ったよ」
「……え」
「二人とも笑ってた」
「……そう」
理は夜が遅く朝も学校で早いため子供なのに短眠。だから夢を見る暇もないらしいから、夢話を聞くのは初めてだ。
「二人とも理君に元気になってって出てきたのかしら?」
母の笑顔に理がつられて笑う。
普段大人びた理が子供っぽく映る。
また少し泣きそうになった。
バイトは午前中を休ませてもらい、朝一で病院へ行った。
インフルエンザは陰性でただの風邪だということがわかり、“アルマ”に行ったのは12時、ウインナーロールが焼き上がる時間だった。
「ごめんね、午前中お休みもらって」と直にまず謝ると「いーよ。理は大丈夫か?」と心配した。
「うん。インフルエンザじゃなかった。ただの風邪だった。本当ありがとうね直、助かったよ」
そう言うと彼は瞳を細め「おぅ」と言った。
私は優しい人達に囲まれている。
啓さんも今朝心配してくれ、いくつもメッセージをくれた。
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