秘密がバレる時

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咲哉さんは「え?」と啓さんを見るため、私はぎこちない笑顔を浮かべ「あ、こちらは理の塾講師の望月先生です」と紹介した。 「こんばんは、望月と申します」 「こんばんは。理がいつもお世話になっております」 私はドキドキしていた。 だって、まさか啓さんと咲哉さんが会うことになるとは思ってもなかった。 しかし啓さんはさすがだ。 少しも焦りを出さず、「こちらこそお世話になっております」と笑顔で答えた。 「理は頑張ってますか?」 「えぇ、すごく頑張っております。理君はとても優秀です」 「そうですか」 咲哉さんがおじさんの顔になる。 嬉しそうだ。 「えぇ。つい先日ありました難関中模試の結果もかなりの高得点を出しましたし、理君は今のところ志望校は間違いなく合格するだろうと思っております」 「そうですか」 「はい」 「本当に優秀ですよ」 咲哉さんは笑顔を浮かべ「理、頑張ってるんだな」と頭を撫でた。 啓さんと一瞬目が合ったがすぐに逸れ、彼は「あと10ヶ月頑張ろうな」と理に言った。 啓さんと話したい。 しかし今はできない。 少しの雑談のあと、私と咲哉さんと理は啓さんから離れる。 その際、後ろから啓さんを呼んだ女性が「素敵なご家族ですね」と言ったのが聞こえ、“違う”と否定したくてたまらなくなったけれど、振り向くのを我慢した。
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