秘密がバレる時

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「舞、遅くなってごめんね」 「ううん全然」 私はそう言ってすぐ「啓さんと一緒にいた女性は誰ですか?」と聞いてしまった。 モヤモヤする心をずっと抱えていられない。 子供みたいにストレートに聞いた。 「あの人は英語講師の小林先生だよ」 その名前は前に彼とスーパーに行った時に出てきた講師の名だ。 「え、でも今夜は小学生の先生方との食事会ではなかったのですか?」 「彼女は小学生担当の英語講師なんだ」 「なるほど」 時代だ、と納得すると、啓さんが「彼女は既婚者だよ?」と笑った。 「え!」 「やきもきする舞は可愛いけど、変な誤解は与えたくないから先に言っておくね」 「……そうなんだ」 力が抜ける感じがした。 スマホが手から抜け落ちそうなくらい。 「舞から“誰?”っていう視線をすごく感じてたよ」 「だって、気になってたから」 「そうだよね。僕も同じ立場ならそうだな。でも安心して、お店にいたのは彼女だけじゃないから」 「……うん」 「もしそうなら舞に話しかけたりしないよ」 たしかに、と無言で頷いた。疚しいことがあるなら隠れるだろう。 「僕には可愛い彼女がいるからね」 「……啓さん」 「可愛い彼女に少しでも会えて嬉しかったよ」 心のモヤモヤが吹き飛ぶ。 不安な要素を綺麗に取り除いてくれる優しさが好き。 改めて啓さんへの恋心を感じた。
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