秘密がバレる時

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「ごめんなさい、疑うような聞き方をして……私ったら子供みたい」 嬉しさと同時に沸き上がるのは罪悪感だ。 「ううん、不安なことはすぐに聞いてくれる方がいいよ」 「うん」 「それに」 「え?」 「僕も大人気ないことをしたんだ」 「どうして?」 「小林先生が舞とお義兄さんの弟さんを夫婦だと勘違いしたんだけど……」 それは聞こえていたけれど、知らないフリして「うん」と言った。 「それが嫌で、違うって言ってしまった」 「そうなんですね」 「大人気ないでしょう?」 苦笑する彼の顔が浮かぶ。 「ううん嬉しい。だって私だって彼と夫婦だと思われたくない。間違われるなら啓さんがいい」 「……うん」 彼の照れた声が返ってきた。 啓さんもそうだと思っていいだろうか。 咲哉さんからの提案も今夜彼に話すつもりでいたけれど、このままいい気分でいたいので火曜日のデートの時まで引き伸ばすことにした。 直には昔からなんでも見透かされてしまう。 翌日、バイトでの休憩時、直に「なんかあっただろう?」と尋ねられた。 「……え、いや」とごまかした私だが、直は「塾講師か?」と私をまじまじと見つめた。 「え!」 「バレてないとでも思ったのか?」 「な、何が……」 「先週の火曜日、美琴は本屋にいたぞ」 「……え」 「あと、ワンボックスカーに舞が乗っていくのも見たな」 私は胸をギクリと震わせ“ヤバイ”と思い、首を竦めた。
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