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「好きって、ラブ?」
「……そうだよ」
直が顔を逸らし、頬を掻いた。
その表情は不機嫌。
「……そうだったんだ」
信じられないが、私の知っている幼馴染みは嘘を吐かない。
「……ほんと、舞はバカ」
「バカって……そうだね」
私はバカだ。
直の気遣いや思いやりの中に私への恋心が含まれていたことをこれまでずっと気付かなかったのだから。
「バカめ」
「ごめん」
「ほんと、バカ」
「……直」
今ならどんなにバカと言われても受け入れられる気がする。
「……こんな風に告るつもりなかったのに」
「……」
「舞がバカだから」
直が大きな手で顔を覆った。
胸が複雑に揺れ動く。
「……直、ごめんね」
私は直と真剣に向き合うため、正座をした。
もう一度「直」と呼ぶと、彼の手が顔から離れ、悲しい瞳が覗く。
「私、直の気持ちも気付かずに……嘘を吐いて彼に会ったり、郁ちゃんを薦めたり……すごくひどいことをしていたんだね」
「……」
「いつも私に優しくしてくれていたのに、ごめんなさい」
直の瞳が悲しく揺れ動く。
「直の気持ち全然知らなかったから、私……」
「もういいよ。俺のことは……昔から舞が俺に気がないのはわかってたから」
「直……」
「ちゃんと伝えられて少しスッキリしたし」
直は無理に口の端を上げて見せた。それが痛々しく映る。
それでも私もちゃんと伝えなければならないと首を横に振った。
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