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断る方も辛いなんて知らなかった。
きっと直はもっともっと辛い思いをしているのだろう。
胸がズキズキと痛む。
「さて、戻るかな」
「うん」
「今頃袋詰めしてるだろうから、いくつか持ってけよ」
「……え、あ、うん」
直は告白のことを完全に気にさせないつもりだ。
ますます胸が痛んだけれど、私は「ありがとう」と無理に笑ってみせた。
そして、帰宅してすぐ部屋にこもり理を迎えに行くまでの間、こっそり泣いた。
きっと色々ありすぎたせいだ。
翌日、私は熱を出してしまった。
定休日でよかったと思ったと同時、今日は啓さんに会わなくてよかったと思っている自分がいた。
直をフッたことをまだひきずっている自分がいたから。
大切な幼馴染みからの告白は私の中で大きなことだったようだ。
私はベッドで子供の頃のアルバムを見返していた。
姉と同じくらい直は写っており、私の近くにいたのだと改めて知る。
「舞、入るわよ」
「あ、うん……」
母が扉を“コンコン”と叩き部屋に入ってきた。
「何してるの?」
「うーん暇だからちょっとね」
母は私の額に手を当て「やっぱり熱いわね」と言うと、アルバムを覗いた。
「この頃のお母さん若いわね」
父や姉、私だって写っているのに、一番に自分を確認する母が少女のようで笑ってしまった。
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