秘密がバレる時

19/23
前へ
/23ページ
次へ
断る方も辛いなんて知らなかった。 きっと直はもっともっと辛い思いをしているのだろう。 胸がズキズキと痛む。   「さて、戻るかな」 「うん」 「今頃袋詰めしてるだろうから、いくつか持ってけよ」 「……え、あ、うん」 直は告白のことを完全に気にさせないつもりだ。 ますます胸が痛んだけれど、私は「ありがとう」と無理に笑ってみせた。    そして、帰宅してすぐ部屋にこもり理を迎えに行くまでの間、こっそり泣いた。 きっと色々ありすぎたせいだ。 翌日、私は熱を出してしまった。 定休日でよかったと思ったと同時、今日は啓さんに会わなくてよかったと思っている自分がいた。 直をフッたことをまだひきずっている自分がいたから。 大切な幼馴染みからの告白は私の中で大きなことだったようだ。 私はベッドで子供の頃のアルバムを見返していた。 姉と同じくらい直は写っており、私の近くにいたのだと改めて知る。 「舞、入るわよ」 「あ、うん……」 母が扉を“コンコン”と叩き部屋に入ってきた。 「何してるの?」 「うーん暇だからちょっとね」 母は私の額に手を当て「やっぱり熱いわね」と言うと、アルバムを覗いた。 「この頃のお母さん若いわね」 父や姉、私だって写っているのに、一番に自分を確認する母が少女のようで笑ってしまった。
/23ページ

最初のコメントを投稿しよう!

48人が本棚に入れています
本棚に追加