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「こうしてみると、昔の舞は理に少し似てるわね?」
「えぇそう?」
「ほら、目元とか口元とか似てるわ」
母が幼い私を指すけれど、ちっとも似て見えなかった。
「私、理みたいに賢そう?」
母は黙ってしまう。
「母親なんだから肯定してよ」と責めつつも、私もそうでないのはわかっているから「頭のよさはお姉ちゃんが全部持ってったもんね?」と笑った。
「舞だってお勉強の全部が全部ダメだったわけじゃないでしょう?英語はすごかったじゃない」
「……ちょっと、やめてよ」
勉強のことで褒められ慣れていない私は、手をブンブンと横に振る。
「どうして?英語だけじゃなくて、中国語だって話せるじゃない」
「それは、仕事で必要に迫られたからだよ……もうやめて恥ずかしい」
「変な子ね、褒められて恥ずかしがるなんて」
「恥ずかしいよ。
それにこれから先きっともう英語や中国語なんてそう使うこともないだろうしね」
私は早口で言い、アルバムを閉じた。
「ねぇ舞」
「うん?」
「理君のために頑張りすぎるのもいいけど、舞の人生も大切にしないとダメよ」
「……どうしたの、急に?」
「理君のために舞の人生まで犠牲にするようなことがあれば、その前にお母さんに相談しなさいよ」
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