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咲哉さんも眉を下げ「彼氏がいるなら無理はできないか」と小さなため息を吐いた。
「その人のこと、櫻木さんや理は知ってるの?」
「いえ、秘密です」
「そう」
「今、理が大切な時期なので、とても言えませんよ」
「なるほどね。彼氏は理を舞さんがみていることは知ってるんだよね?」
まさか塾講師だとは言えない。
「えぇ」と首を縦に振った。
咲哉さんは顎を擦り、私を真剣に見つめている。
心を見透かされてしまいそうで視線を逸らした。
「舞さん、結婚と恋愛は別だよ?」
「……え?」
「特に舞さんは理のことを考えなければならないんだからね」
「……それは、はい」
「まぁ、舞さんはまだ若いしね」
「それはどういう意味ですか?」
咲哉さんは肩を上げ、苦笑する。
「いや、なんでも」
彼は少しの間黙った。
私は周囲にバレるのではと怖くなり「あの、このことは内緒でお願いしますね」と手を合わせた。
咲哉さんは「うん」と言ったけれど、本当だろうか。
それ以上突っ込んでくることはなかったけれど、少し心配だった。
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