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理は“どうだろう”というように首を傾げている。
私は咲哉さんが理の心を引き寄せてしまうのでは、と心配になった。
「咲哉さん、青付中は医学部への進学率がすごく高いんですよ」
「へぇ、そうなの?」
「はい」と答えた私は理に「ねぇ、理はお医者さんになりたいんだよね?」と尋ねた。
「うん。今のところは」
私は安堵しつつ「理の将来のためにも医学部進学率の強い学校がいいと思うんですよ」と言った。
「それなら関東圏にもたくさんあるよ。むしろ大学のことを考えたらこっちに来ていた方が……」
私が心で“負けそう”と焦った時、店員が“お待たせしました”と寿司下駄を持ってきた。
これは話を変えるいいチャンス。
「わ、来た!」と大きく喜び、テーブルに並んだお寿司に目を輝かせた。
「すごい、美味しそう。ね、理?」
「うん」
「理の好きなマグロいっぱいだよ」
「本当だ」
「理、好きなのとるんだぞ。舞さんもね」
「はい!いただいちゃいます」
咲哉さんの気が逸れるように、私は大きく手を合わせた。
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