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「舞さん美味しそうに食べるね」
「だって、めちゃくちゃ美味しいんですよ。このえんがわ噛まなくても溶けていきました」
「へぇ」
「まるでA5のお肉です」
「そうなんだ」
「あ、でもでもすごく食べてる風に言いましたが、A5のお肉なんて滅多に食べられるものではないので、想像ですよ」
咲哉さんの意識を逸らすためにも、私は食レポのようにお寿司を口に入れる度、絶賛していた。
咲哉さんはクスリと笑うが、今度はエビを一口で頬張り「うーん、美味しいこれも」と頬を押さえた。
美味しいのは本当。
だが、リアクションは大袈裟気味。
「舞さんって美味しい店に色々連れて行ってあげたくなる人だね」
「そうですか?」
「うん。見ていて気持ちがいい」
「ははっ」
気持ちがいいと言われて悪い気はしない。
「毎回思うけど舞さんと食事をするの好きだな」
「え、ありがとうございます。私も好きですよ」
彼は理を思いいつも美味しい店に連れていってくれるので、嬉しい。
それは心から言えることだ。
「食事の相性って大切なことだよね」
「食事の相性?」
「うん。食事は毎日欠かせないものだから、相性の合う人としたいよね」
「……なるほど、たしかに」
私は啓さんのことを思い浮かべていた。
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