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それは先週の火曜日、できるだけ二人の時間を取りたいからと、ファーストフード店でハンバーガーのセットを頼み彼の家で食事をとった時のことだった。
啓さんとは別のセットをそれぞれ頼み食べていた私だったが、ハンバーガーを頬張る私の横から彼が顔を近づけ「一口ちょうだい」とかじってきた。
「美味しいね」
唇を舌で舐めるアップの顔は少し艶やかに映る。
少し顔が熱くなるのを感じた。
「でしょう?」
すると啓さんは彼の食べかけのハンバーガーを「舞も食べる?」と私の口元に持ってきた。
反射で開く口に、彼は優しくそれを入れた。
「美味しい?」
「美味しい……」
てりやきソースがいつも以上に甘く感じたのはきっと彼が食べさせてくれたから。
交換しあった飲み物も、時おり彼の口から食べさせてもらったポテトも格別に普段より美味しく感じた。
啓さんとの食事の相性はきっと抜群だ。
「舞さーん?」
「へ?」
「大丈夫?」
咲哉さんの顔が近くてハッとした。
「へ、あぁ……」
「ポテト頼む?」
「え?」
すると理が「舞ちゃんポテトって言ってたよ」と言うので、意識が火曜日に飛んでいたことを恥ずかしく思いつつ、「食べたいかも」とごまかした。
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