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「お腹いっぱいはちきれそう……」
私は食べ過ぎたお腹を擦り、壁に背中を付け、“ふぅ”と息を吐いた。
「食べたねぇ舞さん」
「はい、かなり。もう美味しすぎたので」
「それはよかった」
咲哉さんが口の端を広げニッと笑った。
「ねぇ僕、トイレ行ってくるね?」
「あぁ、うん。場所わかる?」
「俺がついていこうか?」
「大丈夫だよ」
理は手を小さく振ると、席を立ちトイレへ行った。
咲哉さんと二人きり。
少し気まずい。
「ねぇ、舞さん」
「はい……」
嫌な予感がした。
「理の中学校の話に戻るけどさ」
「……はい」
やっぱり、と身体を固くする。
「舞さんは理がどこを受けても付いていく気でいるのかな?」
「……えぇもちろん。
それに寮に入れようとは思ってません。
もし青付中に行くときは、家から少し遠いので、青付中近くにマンションを借りる手もあるかな、と……」
どうしても手放したくないと願っていた私はそう言ったが、この発言は間違いだったよう。
「今、舞さんのバイト先はシフトを融通してくれるいいところなんでしょう?」
「はい」
「青付中辺りにそんな働き口はあるのかな?」
痛いところをつかれたと思った。
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