秘密がバレる時-2

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「こんばんは」 啓さんの声は穏やかだった。 不安だった心が半分くらい落ち着く。 「あ、あの昨日はごめんなさい。“アルマ”にせっかく来てもらったのに、よそよそしくしちゃって……。しかも電話とれなくて……寝ていました」 「ううん、僕こそ昼間の返信ができずにいてごめんね。それに昨日“アルマ”を突然訪ねて、緊張させたね?舞が心配で」 啓さんが“ふっ”と笑ったので、またホッとした。 「もう大丈夫?」 「大丈夫。すっかり」 「そう」 「病院には行った?」 「ううん、熱だけだったので。風邪症状もないので」 「よかった」 「はい。心配してくれてありがとうございます」 「ううん」 私たちの空気がいつもの感じに戻る気がした。 「ねぇ舞、体調が悪くなければだけど、今から行くから少し会わない?」 啓さんに会いたい。 会って、触れて、彼を感じたい。 色々な胸のモヤモヤを逃がせる気がする。 けれど母にバレていることは忘れていない。 「啓さん」 「うん?」 「実は、母にバレているみたいで」 「……え、僕のこと?」 彼の声がワントーン低くなった。 「そこはわかんないんですけど、私が夜に家を抜けていたこと、気付いていたみたいで」 「そうなんだ……しまったね……大丈夫かな」 「母は“鍵を閉めてね”というだけで悪いようには思ってなかったんですけど、少し恥ずかしくて……」 母が知っているのに堂々とできない。 もういい大人なのに、恥ずかしいなんて面倒だと思うだろうか。 優先順位も下。 加えて子供っぽい私に呆れられてしまいそうだ。
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